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服部晋 KINN Tailor 永見隆幸 の衣装 金洋服店 [永見隆幸先生information]



永見隆幸先生が舞台衣装や礼服を仕立てられているのは、渋谷区広尾にある KINN Tailor です。

KINN Tailor は、先帝陛下、今上陛下、皇太子殿下、皇族方のお召しものを仕立てる「皇室御用達のテイラー」として知られる名店。


店主の服部晋さんに、永見先生がいらっしゃらないところで、インタヴューをお願いしました。
それとは別に仮縫の様子も撮らせていただいています。
永見先生が服部さんについて語られたお話も掲載しました。



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永見先生(左)服部さん(右)

永見先生がお召しになっている舞台用の白い燕尾服は、服部さんが仕立てられたものです。

そして何と、白の蝶タイも白のポケット・スクウェアも、服部さんが共生地で拵えてくださったものです ♬



服部さん「永見先生の舞台衣装」:

舞台衣装としての燕尾服を仕立てるのは初めてのことでした。舞台衣装と言っても、燕尾服であることにかわりはありませんから、特に普段と違ったことはしておりません。金属の繊維が織り込んである特殊な生地をお選びになったんで、いろいろな工夫は必要でしたけれども。

衣装としてお作りになるという目的をはっきりした上で、永見先生は ちゃんとした燕尾服をお作りになりました。主役はちゃんとしてないといけないですもんね。



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永見先生と服部さん



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昭和2年製のオーダー・メイドの椅子に座って語る永見先生と服部さん



服部さん「ドレス・コード」:

いまだにイギリスで行われていたパターンみたいなものがドレス・コードになっていて、そういう場にお出でになる方にとっては、むしろ有難いのではないでしょうか。

ヨーロッパの劇場にはドレス・サークルがありますでしょ。日本には残念ながらドレス・サークルがないのですが、日比谷の日生劇場が出来た当時、ドレス・サークルがで出来るということで、 やっとちゃんとそういう風になって来たんだなと。いい気分だったのに、無くなっちゃったんですよ。

劇場側が勘違いなさってるのかもしれませんね。難しいことを言うとお客様がお出でにならないんじゃないかと思ってるんじゃないかしら。むしろ、いいホテルのレストランなどで、うちに来る時には素適なドレスでお越しくださいと言ってしまえば着て行くと思うんです。それを、受け入れる劇場なりレストラン側が、変に遠慮してるんでよくないんじゃないかなと思いますね。

両陛下の主催なさる園遊会であれば皆さんちゃんと着てらっしゃる訳です。あれはそう意味ではドレスをちゃんとするよい機会ではないかと思います。そういう場がもっと増えてくれればよいですね。


注)ドレス・サークル(dress circle)とは、2階の一番前に半円形に突き出した特等席。イヴニング・ドレスを着用するように指定されている観客の席だったことから そう呼ばれるようになった。現在では必ずしも2階の突き出したところではない場合がある。



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談笑しながらの仮縫い



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足元も注意深くチェックする服部さん



永見先生「ロンドンでのできごと」:

ロンドンの街頭を歩いていたら、ふと気づくと、後ろで会話を交わす紳士が数人。何やらスーツの話をしているようでした。きちんと仕立てた服を着ている人が最近は少なくなったという嘆きのように聞こえましたが、次第に服部さんのスーツを着ていた自分が話題の中心になります。

前を歩いている人が着ているのは間違いなくビスポーク・スーツだが、着やすそうだからハンツマンではないな。ヘンリー・プールだろうか。いやいや肩の辺りがプールらしくない。などと会話が弾んでいました。

しびれを切らしたのか、一人が話しかけて来ます。

「失礼ですが、そのスーツはどちらで仕立てられたのですか。」

「日本」と答えると、「その美しい(イングリッシュ・)ドレープ・スタイルから判断しても、絶対にブリティッシュ・スーツだと思った」と驚いた様子でした。

服部さんにイギリス留学の経験はありませんが、スーツの原点であるブリティッシュ・スタイルもよく研究されており、そのことに大きな意味がない証だと思います。

自分のように伝統的な構築性の高いザ・ブリティッシュといったスタイルが好みであれば そのように仕立ててくださるし、ゆとりがあって柔らかいスーツが好きな方には そういったスーツを作られます。

服部さんの仕立ては着心地優先。KINN Tailor に特別なハウス・スタイルはなく、ご自身を職人と定義しておられるのです。



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楽しそうな服部さんと永見先生



服部さん「礼服」:

私が考える礼装とは、非常に基本的なと申しますか、昔から流れてるちゃんと形になった礼装ですね。あの形になるまでに結構時間がかかっている訳ですけれども、永見先生は、それを非常にお好みになっています。最近は礼装の新しいものもあるみたいなんですけど、 いざとなると、古くからのものの方が、映える気がします。

私の作るものは、洋服と言っても、ビスポーク、オーダー・メイドですから、お客様のお好みで作るんですけど、永見先生のように本来の形を中心にして仕立てられる方が多いです。



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服部さん「古くからあるよいもの」:

糸が最近細くなっているように思うんです。糸は番号で太さが決ってますから同じ筈なんでしょうが、縫っていると、幾らか細く、幾らか弱くなっているような気がしないでもない。手間をかけなくなってるものが増えてるんじゃないかと思います。生地で申しますと製造速度が物凄く速くなったのが、どうもいけないんじゃないかと。機械が進歩したんですよ。でも、それって果して進歩なんだろうか退化なんだろうかと思いましてね。

随分前から言ってるんですが、羊毛に一番適した速さというものがあるんじゃないかと思うんです。速い方が綺麗には出来るんでしょうが、それが近頃何よりも気にかかってることですね。

古くてよいものを一生懸命拾い集めてるんです。古いからよいものとは限りませんが、古くからあるよいものじゃなければ、本物じゃない気がします。



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服部さん「貝のボタン」:

ちょっと見ただけでは判らないかもしれませんが、一口に貝のボタンと言っても、白蝶貝と高瀬貝では全く違います。高瀬貝は巻貝で白蝶貝は二枚貝。白蝶貝は真珠を作る母貝でもあります。採れる原料の量が白蝶貝の方が圧倒的に少ないですし、質も違う。

真珠貝を採りにアラフラ海へと行って、そこで採れる貝でマザー・オヴ・パールのボタンを作っていたアラフラ丸商会という会社があったように記憶しています。

よい貝ボタンを自分なりに集めていますが、うちの父親の代で使っていたボタンなどを見ると嫌になります。全然違うんですよ。肉の厚さが先ず違う。

一番小さな部品まで追っかけて行かないとよいものはできません。



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立ったり座ったり目まぐるしく動いて仮縫をする服部さん



服部さんは昭和5年(1930年)生れ。しゃがむ時も立つ時も、年齢を全く感じさせない素早さでサッと動かれる。息も切れないし、疲れた様子も見られない。会話の内容は濃いし、滑舌もよく、澱みがない。若い世代が使う「じゃないですか」という同意を強制する表現などは一切使われず、「でございましょ」と婉曲な言い回しを多用され、品位の高さを感じます。

我々はと言えば、どこも身体は悪くないのに一つの動作が終る度にヨッコラショと大儀そうにしたり、品のない言葉遣いで中身のない会話を交したり。いたたまれないほど恥ずかしい…



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永見先生「ヘンリー・プール」:

ヘンリー・プールのシニア・カッターであるアレックス・クックに会う機会を得た時、偶然、服部さんのスーツを身につけていました。アレックスは、その生地を一目見て言いました。
「私も同じ生地でスーツを仕立てましたが、どうしても皺が出やすいのです。貴方のスーツに皺ひとつないのは驚くべきことです。」

同じく、ヘンリー・プールのシニア・カッターだったフィリップ・パーカーに会った時も、たまたま服部さんが仕立てたヴェルヴェットのディナー・ジャケットを着ていました。それを見たフィリップが大仰な身振りで冗談めかして言うのには、「はてさて、ヘンリー・プールは、貴方に何かして差し上げられますかな!」

もちろん二人とも世界的な素晴らしいカッターですが、服部さんの仕立てには、しかるべき敬意を払っていました。



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裏地を選ぶ永見先生と服部さん



服部さん「永見先生」:

永見先生は「だいぶ」お得ですよね。お背も高いし、あれだけ お身体があると映えますから。
そして、ちゃんと解ってらっしゃる。全般をよく知ってらっしゃる。非常に深いデータを持っていらっしゃるでしょ。ですから、一番最初にケープを作るとおっしゃった時に、ちょっとビックリしたんですけど、お仕立てしてみたらそれは素晴らしかった。そういうものを着るというお気持ちがあるのが大したもんだと思います。

ご本人がその気にならないと着られませんでしょ。ご自分が、正しくないと嫌だというお気持ちがあるから、そういう風になさるのだろうと思います。

何でも着こなされるし、永見先生は極上得意の方です。


注)ここでの「極上得意」とは、俗に言う「お得意さま」ではなく、洋服に対する深い理解と愛情があるというニュアンス。



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服部さんが仕立てられた永見先生の cloak(マント)



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永見先生が次に仕立てる予定の舞台用ディナー・ジャケット(タキシード)のために選んだ生地について語る服部さん



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創業からの KINN Tailor の看板



服部さん「KINN Tailor の 仕事」:

うちの仕事は手間がかかり過ぎているかもしれません。着心地最優先なんですよ。着ていて具合のよくない服は作りたくない。それは服ではないという観念が父の代からある訳なんです。



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寛仁親王殿下から賜ったベスト・ドレッサー賞の額と共に

寛仁親王殿下は、服部晋さんの仕立てに全幅の信頼を置いておられました。1975年、殿下がメンズ・ファッション協会ベスト・ドレッサー賞を受けられた時の賞額を「君が貰ったようなもの」と、服部さんに贈られたことは、よく知られています。



今上陛下の御譲位にあたって、引続き、上皇陛下と新帝陛下のお召しものを服部さんが仕立てられると漏れ承りました。

皇室の弥栄をお祈り申し上げると共に、服部晋さんのご健勝、KINN Tailor 益々のご発展を心より祈念致します。



【 KINN Tailor の 歴史 】

大正2年(1913年)1月創業。平成25年(2013年)に創立100周年を迎えた。

初代店主の服部金生(Kaneo HATTORI)は、“TAILOR MAKES GENTLEMAN”(仕立屋こそが紳士をつくる)をモットーに注文主のご要望を限りなく生かし、長期の使用に耐えられるハンドメイドの服作りに専念。その技術を買われて当時の華族方に引立られる。 第16代 徳川家達 当主を筆頭に、徳川家の方々より信頼を得、推薦されて久邇宮家の愛顧を受ける。その後、多くの華族が顧客となり、昭和10年頃から秩父宮家より受注。 昭和25年から、皇太子殿下(今上陛下)をはじめ、常陸宮家など各皇族方からの注文を受け始め、昭和39年には昭和天皇の御用命をいただく。 一方、洋服組合の活動にも力を注ぎ、市谷の旧洋服会館建設にあたっては、組合の副理事長として従事。職業訓練法の施行により設立された港区職業訓練校では、顧問を務めて資金を寄付した。その寄付金をもとに、最優秀卒業生には記念の時計が贈られ、「服部賞」と名付けられた。

二代目服部晋(Susumu HATTORI)は、10代半ばから父 金生に師事して洋服作りを修業。 業界新聞の紙上コンクールで優勝した縁によって港区の職業訓練所の講師を務めた。 「良い服とは、着心地が良く見た目も美しい」という考えを基に服作りについて日々研究を進め、独自の裁断法や仕立技術を開発。 また、昭和43年(1968年)頃よりハンディ・キャップを持つ方への服作りにも従事。単に機能面のみを重視するのではなく、精神的にも安心感や満足感を得られる服を目指し、次々と斬新なデザインを考案する。 現在は、仕立業の他に製造工場の技術指導やアパレルメーカー社員のフィッティング指導を行うと共に、私塾を開き後進の育成にも力を注いでいる。
平成15年(2003年)、英国羊毛公社(英国政府外郭団体)BRITISH WOOL AWARD 特別賞を受賞。
著書に、服部晋の「洋服の話」(小学館)、「服部晋の製図」(Equality出版)など。
DVDに、服部晋「洋服の作り方」(金洋服店)、服部晋「礼服についてお話しましょう」(金洋服店)、服部晋の「補正ジャケット編」(金洋服店)、服部晋の「補正パンツ編」(金洋服店)、服部晋の「パターン作成ジャケット編」(金洋服店)、服部晋の「パターン作成パンツ編」(金洋服店)、服部晋の「パターン作成ベスト編」(金洋服店)、服部晋の裁断応用法「婦人服を綺麗に作るコツ」(金洋服店)など。



永見隆幸オフィシャル・ウェブサイト ♬
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NAGAMI Takayuki official website ♬


永見隆幸のプロフィールはコチラ ♪
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